ボルボのフラッグシップサルーンとして8年のモデルライフを全うした初代S80の後継となる二世代目のS80が登場したのは2006年11月のこと。先代とほとんど同一のボディ・ディメンションを持つものの、コーナー部を絞り込むことによりコンパクトでスポーティに見せることに成功している。
新型S80の大きなポイントとなるのはインテリアだ。フローティングセンタースタックと呼ばれるセンターコンソールをはじめとして、なだらかに弧を描くダッシュボード上部など、とにかく人を威圧するようなデザインは一切ない。派手さはないものの乗員を優しく包み込むような上質感は、誰が使ってもしっくり馴染む北欧家具と似ているかもしれない。また、デンマークDYNAUDIO社製スピーカー付きオーディオシステムも装備される。
当初は、新開発の3.2リッター直6エンジン(238ps)にFWDもしくは4WD、4.4リッターV8(315ps)には4WDのみのラインナップ。組み合わされるトランスミッションは全車アイシンAW製6段ATとなる。また、レーダーセンサーにより車間距離を計測しながら車速をコントロールするACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)/死角情報提供システムBLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)など、最新の安全デバイスを数多く採用しているのもトピック。ちなみに、初期モデルにはすべてのモデルに右/左ハンドルが用意されていたが、2008年モデルからは全車が右ハンドルになっている。
2009年7月にはラインナップが見直されて2.5リッター直6ターボ+FWDの2.5T SEと3リッター直6ツインターボ+4WDのT6 TE AWDの2本立てとなった。両モデルとも高効率エンジンを採用しているだけに燃費もグッと良くなり、10・15モードで前者が9.5km/L、後者が9.7km/L。高速での100km/h巡航では13.0km/Lを超えるはずだ。
従来のボルボ製セダンにも、世界トップレベルの安全性と個性的なエクステリアを持つモデルが揃っていたが、走りのキャラがイマイチはっきりしなかったのは否定できないだろう。ところが、新型S80はライバルたちに負けない個性的な走行フィーリングを身につけた。その気持ちいい軽快感は他のアッパーミドルクラスセダンでは味わうことができない。
|