「ベンツ」と「メルセデス」は同じモノなのか?

2020/02/17 13:33:22

INTERVEW
「ベンツ」と「メルセデス」は同じモノなのか?
ベンツと呼ぶ人もいればメルセデスと呼ぶ人もいる。気になる人に贈るQ&A
この方に聞きました。
メルセデス・ベンツ中野 サーティファイドカーセンター
所長 小木曽 薫氏

●まずは、小木曽さんの簡単なプロフィールからお聞かせください。

小木曽氏(以下O)「今年の11月で勤続30年になります。ヤナセの特約店だった時期もあるので、フォルクスワーゲンもサーブもGMも売りました。ですが、いつの時代もメインはメルセデス・ベンツだったので、メルセデス・ベンツを販売して30年になります」

●30年ということは、日本における外車、輸入車の黎明期を見てきたことになりますね。この30年を振り返ってみて、いかがでしたか?
 

O「入社した頃はバブル経済が弾ける寸前でしたね。新型のSLクラスであるR129型がちょうど登場した頃で、納車が50人待ちとかになっていました。ですが、その後、だんだんバブル経済が弾けてきて、キャンセルする人が出てきました。50人待ちだった状況が、やがて30人待ち、20人待ちになっていきました。当時は、いまのように販売台数の多さを求めるのではなく、一台一台を丁寧に売っていた印象ですね」

 

●当時は、輸入車のことを、いわゆる「外車」と呼んでいる時代でしたね。

O「はい、弊社(宮園自動車)に入社したときも「外車部」に配属されました」

●外車が、いつから輸入車と呼ばれるようになったのですかね?その変化みたいなものを感じましたか?
 

O「変化は、あまり感じていませんでした。なんとなく外車と呼ぶと恥ずかしいというイメージになって、たぶん20年弱ぐらい前から輸入車と呼ぶようになったのだと思います」

●それと同時に、ずっと「ベンツ」と呼んできて、ある年齢から上の人は今でも「ベンツ」と呼んでいます。ですが、メーカーは「メルセデス」と呼んでほしい、と、この何年か推奨しています。ですから、「ベンツ」と呼ぶ人もいれば「メルセデス」と呼ぶ人もいます。「ベンツ」と「メルセデス」は同じモノなのか、それとも別のクルマなのか?その違いをどう感じていますか?

O「私の考えでは、メルセデスは女性のイメージ、ベンツは男性のイメージということになるでしょうか。車名を書くときに、メルセデスとベンツの間に点が入ることからも、そこには少しばかりの違いがあると感じています。そして、輸入車が外車と呼ばれていた時代は、「ベンツ」のほうが3文字で言いやすかったということもあります。当時はAMGもそれなりのモノがあった時代で、いかにも「ベンツ」と呼ぶに相応しい魅力的なクルマがたくさんあった時代でした」

●昔、何事にも「らしい」という言葉がありましたよね。メルセデス・ベンツの場合、ベンツらしい、メルセデスらしい?という言葉になります。その「らしい」という言葉はディーラーの責任者として、どのように捉えていますか? どういう風に「らしい」という言葉をメルセデス・ベンツと融合させますか?

 
 

O「操作性能が変わらない点がメルセデス・ベンツの魅力のひとつです。全クラスの操作ボタンに共通性があるようにしており、そのことに関して、作り手の確固たるポリシーが基本的にあるので「ベンツらしさ」がそこから出ているのだと思います。安全性に関する技術も最先端を担っているので、そのあたりからも「らしさ」が出ています。メルセデス・ベンツは高価かつ高機能なクルマなので、研究にコストをかけて造っています。そういった部分の「ベンツらしさ」が、時代を超えて「らしい」、「らしさ」として出てくるのだといえるでしょう」

●「どうせ何々する」という言葉もあります。「どうせ乗るなら」という言葉を販売経験30年という実績の中でメルセデス・ベンツに当てはめると、何がぴったりですか? 


O「日本の市場、日本で便利なボディサイズなどを考えると、どうせ乗るならEクラスということになるでしょう。Eクラスが主流として売れていかなければならないとインポーターも考えています。お客さまがEクラスで満足できないのであれば、やはり、Sクラスですね」

●「ベンツ」と呼んでいた時代からメルセデス・ベンツのことが好きな人間からすると、ベンツはクルマ造りが本当に上手くって、例えばCクラスに乗るとEクラスが欲しくなり、Eクラスに乗るとSクラスに乗ってみたくなります。このクルマ造りが絶妙なんですよね。操作系に共通性があるので、CクラスからEクラスに乗りかえても、EクラスからSクラスに乗りかえても運転できてしまうわけです。そして、いま、CクラスからSクラスまでエクステリアが共通デザインになっていますが、Cクラス、Eクラス、Sクラスで何か明確な違いはありますか?


O「クルマはボディサイズが大きければ大きいほど、ホイールベースが長ければ長いほど乗り心地がいいです。ということで、当然のことながらがSクラスの乗り心地が一番いいです。昔の190シリーズはSクラスの560のインテリアと比較しても同じでしたから、その時代は今とは異なり、ボディサイズが小さなクルマもコストがかかっていたと思います」

●メルセデス・ベンツを「メルセデス」と呼ぶ世代の方々は「ベンツ」と呼んでいた時代のことを知りません。メルセデス・ベンツもBMWもアウディもデザインは違えどその違いは解かりずらいと思います。お客さまに、メルセデス・ベンツと他ブランドのクルマとの違いをどのように説明していますか?

O「そういう方々には、メルセデス・ベンツは他メーカーとは歴史が違うと説明しています。安全装備にしても、トラクションコントロールにしても、エアバッグにしても、最初に導入したのはメルセデスベンツです。メルセデス・ベンツには、研究して使えるものをいち早く導入してきたという歴史があります。安全装備のひとつであるABSもメルセデス・ベンツは公開特許にしています。それぐらい、メルセデス・ベンツは自動車業界全体の発展についても考え、常に先進なのです。たしかに、現在は国産の高級車も豪華です。まるで応接間がそのまま動いているみたいです。メルセデス・ベンツは、ただ単に豪華なだけではなく、ある地点を点と点で結んで、そこまで行くまでの快適性を追求しています。快適性は、運転していて疲れないとか、安全であることも含んでいます。そのあたりの要素についても、自動車メーカーとして歴史があるので経験値が違うといえます。すべてのことは、最善か無か、という言葉につながっています。メルセデス・ベンツが最先端のクルマであるというイメージを牽引しているレーダーセーフティに関しても、発表は他メーカーが先だったとしても研究は先にやっていました。完全に作動することを確認してからリリースしたわけです」

 

 

●他のブランドのクルマと比べて、どこが違う、と考えたときに、歴史だとお答えになりました。御社(宮園自動車)も歴史があります。歴史あるディーラーが歴史あるクルマを販売しているわけです。そこの旗艦店の責任者として、どのようなラインナップで「らしさ」を出しながらメルセデス・ベンツを売っていきますか?

O「メルセデス・ベンツ中野サーティファイドカーセンターは高額車種を売るのがベースです。都内なので、Sクラスがメインです。あとはAMGとGクラスも主力車種として販売していきます。Sクラスは法人にも売っていきたいですね」

 

●こちらはサーティファイドカーセンターなので、品揃えについて教えてください。


O「高年式車やデモカーなど、新車に近いようなクルマを販売していきます」

●さすがに御社のような老舗ディーラーは「らしい」という言葉の意味をよく分かっていて、感心する部分があります。販売車両にプレミアムマットとかがさりげなく付いているからです。驚くほど装備が充実していますね。ボディカラーも特別なものがあったりします。それは、こだわりがあってやっていることですか?そういう最高の装備が当たり前だと思っている方々を、これからもユーザーとしてやっていくのでしょうか?

O「やはり、メルセデス・ベンツという高級なクルマを扱っているので、キズの検査もしっかりやっていますし、お客さまにご満足いただけるようなクルマを売っていきたいと思っています」

●最後にPRしたいことはありますか?

 

O「ここのサーティファイドカーセンターはチームワークをモットーにしているので、何かあればスタッフに気兼ねなくご相談ください」

 

 

取材協力
メルセデス・ベンツ中野 サーティファイドカーセンター
宮園輸入車販売株式会社
東京都中野区江原町1−13−26
TEL  03−3952−3622

営業時間:9:30〜19:00(火〜土)
9:30〜18:30(日・祝)
定休日:月曜日

文&写真 / 車 市場 認定中古車ドットコム 

 

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