大胆な変革を遂げた現行型ジャガーXJシリーズ(X351型)は、デビューから2年あまりが経過した。発売当初こそ、旧来から見れば“XJらしからぬ”スタイリングに戸惑いを感じさせた。あまりの開花っぷりに「ちゃんとファンが付いてくるのか」と危惧されることもあった。だがフタを開けてみれば、販売はなかなか好評のようだ。現在ではデモカー落ち、下取りを含めた高年式の認定中古車を、そう珍しくもなく見つけることができる。

 今回はそうしたX351型XJの認定中古車と共に、その影に隠れた思わぬ伏兵を見つけたのである。先代に位置するX358型である。現行型が伝統を打ち破ったモデルだとすれば、先代はジャガーの伝統を守り抜いた最終形態だと言える。端整な3ボックススタイルに丸目4灯はひと目でジャガーだと判り、かつ程よくタイトで上質な空間、伝統のJゲートにXJらしさを感じる。

 そこでジャガーおよびランドローバーブランドの新車販売店であると共に、認定中古車の在庫量としては日本最大級というジャガー・ランドローバー三島を訪れた。彼らのジャガーとランドローバーを合わせた在庫数は常に40台を超える。しかも常に品質の高い、そしてユニークな仕様を取り揃えることで知られる。供給量が極めて少ない上級グレードや、特別な色や仕様などである。今回、XJだけでも複数台が並べられた店舗で、早速目に飛び込んできたのは、昨年12月に登録されたばかりの極めて新車に近いX351型XJポートフォリオと、そしてX358型XJ4.2エグゼクティブだった。

 早速、旧型たるX358型を見る。ジャガー勢に限らず斬新かつ未来的なデザインや、衝突安全性能および空気抵抗を極限まで追究したワンモーションフォルムが大挙して押し寄せるいま、郷愁漂うという言葉が相応しいこのXJの容姿が妙に落ち着く。この個体は2007年11月に登録されたもの。今秋には2回目の車検を迎えるが、走行距離はまだ2万4000kmであり前オーナーが大切に所有してきた様子がうかがえる。明るい色合いのアイボリーレザーに汚れは見あたらず、外観も実に綺麗だ。同店の適切な加修やクリーニングの効果もあって、少なくとも4年以上前に卸された個体とは思えない。

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程よくタイトなインテリアに伝統のJゲートなど旧来のXJらしさに満ちあふれたインテリア。ウォールナッドウッドとアイボリーレザー、そこにさりげなくメッキパーツが備わって気品を感じる。新鮮さはないが、飽きることもない。

この個体にはオプション扱いとなるアイボリーレザーシートにフロントシートクーラーまでが装備されていた。かつサンルーフまで付いて室内は明るい雰囲気を持つ。使うごとに徐々に肌に馴染んでいくような、シートの風合いがいい。

X358型XJ4.2エグゼクティブに搭載されるのは4196ccのV型8気筒。最高出力304ps/6000rpm、最大トルク42.9kg-m/4100rpmは、V8らしい重厚感に溢れながら、軽量化を狙ったオールアルミボディにとって実にパワフルだ。

 

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