マイバッハの生産が2013年を持って終了する。そんなニュースが、世界中を駆けめぐったのが記憶に新しい。メルセデス・ベンツを母体に持つ独立ブランドとして、世界最高峰のサルーンに君臨したマイバッハは、デビューから約10年で幕を下ろし、今後はやがて登場する5代目Sクラスのリムジン「S600プルマン」がその座に就くことになりそうだ。

 生産終了が来年といっても、それは受注分の生産をすべて終える時期という意味だ。実際、ここ日本では今年2月を最後に新規受注を終了したという。ゆえにマイバッハのまっさらな新車は、もう手に入れることができない。が、中古車ならまだ可能性はある。新車ではなくとも、極めてそれに近い中古車なら存在を認めることができた。それが今回の1台、日本で唯一マイバッハの販売代理店を務めるメルセデス・ベンツ品川にあるマイバッハ62である。

 この個体の登録は2011年6月。デモカーとして1年半弱と、6000km弱の距離を刻んだ状態だった。マイバッハにはメルセデス・ベンツのサーティファイドカーのような明確な認定中古車制度は設けられていない。が、新車保証期間がすこぶる長く、2010年以降のマイナーチェンジ後は6年もある(2010年以前の前期型は4年)。ゆえにこの個体は他モデルの新車よりも長い、4年半もの新車保証が残っている。保証継承には然るべきサービス体制を持つ正規販売店による点検整備や手続きが必要だが、同社なら心配は要らない。マイバッハとSLR専用のサービスファクトリーを持ち、専用のセールススタッフ(パーソナル・リエゾン・マネージャー)がいるなど、マイバッハに特化したインフラを持つがゆえに信頼感にあふれる。なにしろ新車販売当時ですら日本では、同社以外ではメーカー直販でしか購入方法がなかったのである。

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新色サオナベージュのグランドナッパレザーに、バードアイダークメープルウッドの組み合わせが特徴的。操作系の基本はメルセデスの流儀に沿ったもので、使い勝手が良好だ。後席のみならずドライバーズカーとしてもお勧めできる。

ロングホイールベースの62と言えばハイライトはリアの空間だろう。左右は完全に分離された4人乗り。中央部には大型の肘掛けや収納、テーブルなどが備わる。どこを取ってもスキのない作り込みで、価格以上の価値を感じる。

電動で開閉するトランクルームは3ボックスサルーンという形状ゆえに必要充分というところ。細部にまでカーペットが敷き詰められ、裏側にはマイバッハ専用(dunhill製)の傘が備わる。後席の人に差してあげるための傘だ。

 

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