驚くべきは、芸術品のような仕上がりだけではない。そもそものボディ骨格自体がスパイカー独自の設計であり、空気の流れを考えつくしたボディシェルの造形や、レーシングカー然としたインボードタイプのダブルウィッシュボーンなど、走ることを最優先とした構造が随所に見て取れる。珍しい芸術品というだけでなく、完全なピュアスポーツカーなのである。
 エンジンはアウディ製の4172ccV型8気筒。かつてのS8などに搭載されたもので、現行型で言えばR8と同系譜にある。最高出力400ps、最大トルク48.9kg-mの出力性能が、1.3トン付近にある車体を引っ張ると想定すると充分に速い。重量バランスに優れるミドシップレイアウトなことも運動性能に寄与する。また、普段使いを考えるユーザーにとって信頼性に長けるアウディ製ユニットであることは安心材料のひとつとなる。
 さて、気になる価格を見てみる。走行距離はまだ1万kmに届かず、車検がまだ2年弱も残った状態で、ちょうど1900万円というプライスタグを確認できた。もはや新車価格とは比べることができないが、導入当時にしておそらく2400万円近くは必要とされたはず。そう考えると、2000万円切りはまず安い。さらには日本には同店以外では見られない希有な個体だという点が無視できない。世にグランツーリスモ、スポーツカーは多々あれど、ここまでの希少性を持つという意味で、価格以上の価値はありそうだ。
 また、スパイカーは現役最前線で活躍するがゆえ、今度パーツ供給の面でも心配は不要だ。日本でスパイカーを普及させようと尽力する株式会社アトランティックカーズのバックアップ体制も手伝って、より安心したスパイカーライフを送ることができるはずだ。今回の個体で言えば、登録から2年間の新車保証が設けられるほか、保証云々を抜きにしても積極的にサポートする姿勢を持つ。ここまで落ち着いて、日本でまずお目にかかれないモデルをじっくりと堪能する。なかなか通好みな選択ではないかと思う。

TEXT:中三川大地

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ボディワークは全てスパイカーのオリジナル。全体のフォルムはル・マン24時間GTクラスに参戦するレーシングカーのようなエアロダイナミクス性能を狙ったものだ。リモコンやミラー脇のスイッチでガルウイングが開く。

フロント部分を前側に開けると、そこにはレーシングカー然としたインボードタイプのダブルウィッシュボーンサスペンションと、ラジエター、オイルクーラーなどが見える。中央部には緊急時の際の車載工具箱が備わる。

縦置きで搭載されるエンジンはアウディ製4172ccV型8気筒。最高出力400ps/6800rpm、最大トルク48.9kg-m/3500rpmを発揮する。それに組み合わされるミッションはトラディショナルな3ペダルの6速MTだ。

Spyker C8 Laviolette

12年 検27/3 走行9,600km アンスラサイト
¥19,000,000

アトランティックコレクション

東京都港区麻布台2-3-3
TEL.03-6435-5825

 

 

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