もっとも手軽にジャガーを味わえる存在にして、今年から新たに話題のダウンサイジングユニットを得たジャガーXFに焦点を当てる。ジャガーと言えば流麗なビッグサルーンやクーペ(コンバーチブル)に、それを軽々と引っ張る絹のように上質なマルチシリンダーエンジンのイメージが強い。昨今はそれにスーパーチャージャーまで用意し、ライバルを蹴散らす動力性能を両立させ、独特の英国アッパースポーツを展開してきた。

 だからこそ今年登場した2.0リッター4気筒エンジンは驚かされた。時代の流れに即して最新過給器技術を組み合わせ、優れた環境対応性能を身につけた点は素直に歓迎できる。しかし「大排気量+マルチシリンダー」イメージが強い世論を納得させるような乗り味を持っているのかと注目された。

 いざフタを開けてみれば、メディアでは概ね好評であり、実際の販売も順調のようだ。しかしクルマ選びに限らずとも決して他人の意見には流されず、自分の目で見極めたい、と思う人こそジャガーに乗っている。その意志を汲み取ったジャガー・ランドローバー・ジャパンは、全国各地の正規販売店とタッグを組んで実に魅力的なキャンペーンを始めた。その名も「ジャガー・モニターカー・スペシャルセールスキャンペーン」である。モニターカー(デモカー)として使われたXJ、XFの2.0リッターモデルを中心に、発売から半年弱というこのタイミングで早々に販売し、ジャガー流のダウンサイジングを世に訴える取り組みだ。キャンペーンはもう始まっていて、期間は2013年の8月末日まで。その日を待たずとも個体が売り切れた時点で終了となるから、残された時間は決して多くはなさそうだ。

 では、実例に迫ろう。訪れたのは都内屈指の正規販売店「ジャガー東京」が展開する認定中古車センター「世田谷アプルーブドカーセンター」である。常に20台近くの認定中古車を揃える彼ら、この日は5台のキャンペーン対象車が並んでいた。そのどれもがXFだ。本当ならば当初はXJ、XF含めて10台ほどあったものの、矢継ぎ早に半分が売れてしまったという。

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ベージュレザーの中にシルバー基調が巧みに合わさって、未来感を持たせた操作系まわり。Jゲートに取って代わったダイヤル式のATセレクターもすっかり定着した。まだ新車のビニールが残されたままの極めて新しい状態だった。

上質なソフトグレインレザーに包まれたシート。クーペっぽいフォルムを持つとはいっても後席には充分なスペースが確保され、しっとりと柔らかい乗り心地と相まって長距離でも苦痛は感じない。分割可倒式なので使い勝手もいい。

2.0ラグジュアリーに標準装着されるのは17インチ(235/55R17)だが、これには上級グレードと同じ18インチホイールが装着されていた。タイヤサイズは前後共に245/45ZR18で、銘柄はピレリP-ZERO。まだ新品そのものだ。