質問:35歳・女性 Aさん・専業主婦(東京都小平市)
サラリーマンの夫と小学5年生の娘と暮らす専業主婦です。7年にわたり国産コンパクトカーに乗ってきましたが、そろそろ車検なのでクルマを買い替えることにしました。主人は電車通勤、クルマはほとんど私が使います。買い物やスイミングスクールに通う娘の送迎、またドライブが趣味ですから休日には家族揃って私の実家(長野県佐久市)まで出かけます。実は社宅のお隣さんが最近になって軽自動車からVWポロに買い替えて、密かに「いいなぁ」、なんて思っています。何となくウチも輸入車にしたい……(主婦の微妙な気持ち)。ドイツ車以外で(真似したと思われるのもイヤなので)便利に使えるお洒落なコンパクトカーを探してください。予算は200万円くらいまでなら捻出できます。

 シトロエンというフランスのブランドが日本のクルマ好きたちにその名を知らしめたのは1948年に発表され1990年まで42年の長きにわたり生産された名車「2CV」と、その後のモデルに採用された「ハイドロニューマチック」と呼ばれる独特のサスペンションでした。そして、個性的なボディデザインやメカニズムを持つモデルを次々とリリースしていきます。
でも、維持していくのにけっこう手間のかかるクルマでした。だから、フリークのクルマというイメージが確立されたわけです。
 ところが2000年代に入るとシトロエンは生まれ変わります。90年代までのシトロエンとは「別モノ」と考えていいでしょう。いまでも「故障するでしょ」とか、「ボディがユルユルでしょ」みたいなことを言う人がいますが、ハッキリ言ってそれは昔の話。最近のシトロエンはパーツの品質や取り付け精度も高く、メカニズムの信頼性もドイツ車並みに高いのです。
 国産車感覚で維持できるようになった新世代のシトロエンは、車名の頭にCやDSの文字が付くようになってからのクルマと覚えてください。C3はVWポロやフィアット500、トヨタ・ヴィッツなどの強豪がひしめくBセグメントに投入されたモデルです。

 今回Aさんに推挙したのは2010年5月にリリースされた2代目のC3。最大のトピックは、エクステリア/インテリアのデザイン性の高さです。とにかく、全世界・すべての小型実用車のなかで最もデザインの切れ味が鋭いと言っても過言ではありません。ピリッと引き締まっているもののどこか愛嬌のあるフロントマスク、頭上まで広がるフロントウィンドー、メーターフードの造形や計器類のレタリングにいたるまで、まさにセンスのかたまり。それも息が詰まりそうな感覚のものではなく、すべてが心地よく、乗る人を楽しい気持ちにさせてくれる。もう、見事と言う他ありません。
 「シトロエン・ライド」の源泉となるサスペンションには、一般的なコイルスプリングを採用しているものの、路面を撫でるようなしなやかさを持つ「ハイドロ」に近い感覚を実現しています。小型実用車であっても「徹底的に乗り心地にこだわる」、これがシトロエンなんですよね。長距離を走っても小型車特有の「あの疲れ」を感じることはないでしょう。
 現行型C3の認定中古車相場は、走行数千kmのデモカー物件で160-180万円が目安。諸費用込みで考えてもAさんの持っている予算の200万円に余裕で収まります。ズバリ! あなたのベスト・バイです。

C3(ベースグレード)
●全長×全幅×全高:3955×1730×1530mm
●車両重量:1190kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHC 1598cc
●最高出力:120ps/6000rpm
●最大トルク:16.3kgm/4250rpm
●燃費:12.3km/L(10・15モード)
●変速機:4段AT
●駆動方式:前輪駆動
●タイヤサイズ:195/55R16

取材車両
C3 セダクション
2012年式/走行1000km/ブルーボッティチェリ/検2015.1
車両価格:178万円

質問:59歳・男性Bさん・医師(東京都世田谷区)
クルマが好きで30年以上にわたりドイツ車の様々なアッパーミドルクラス・セダンを乗り継いできました。でも、現代はダウンサイジング時代、同僚の医師たちも次々と国産のハイブリッドカーやドイツブランドのハッチバック車に買い替えています。私もでっかいセダンで高速道路をカッ飛ばす歳でもないですし、子供も独立していますから、コンパクトカーに乗ろうと思います。仕事柄、派手すぎるクルマはNG。趣味でゴルフをやりますので、高速を快適に走れる適度なボディサイズを持つ輸入車を提案してください。ドイツ車生活が長いのでイタ・フラ車がいいかなぁ……。

 最近はBさん世代のクルマ好きの方がアッパークラスのサルーンやSUVからコンパクトカーに乗り替えるケースが増えているんですよ。おっしゃるとおり、現代はダウンサイジングが主流、子供さんが独立して後席を使う機会がほとんどない方にとって大きいクルマは必要ないと思います。もう、クルマがステイタスシンボルになる時代でもないですしね。
 ということで、承ったミッションは、ドイツ車以外で高速道路を快適に走れる適度なボディサイズのコンパクトカーを探せ、です。ご要望が非常にシンプルですから、逆にけっこう難しい……。でも、ドイツ車以外を希望ということで、イタ車じゃあまりにベタです。そこで、フランス車ですよ。クルマ好きのBさんに納得していただけるのはこれでしょう。シトロエンのCセグメント・ハッチバック「現行型C4」です。

 初代C4が登場したのは2005年6月のこと、5ドア(セダン)と3ドア(クーペ)が用意されました。「ZX」や「クサラ」の後継モデルという位置付けですが、ハッキリ言ってそのイメージは微塵もありません。内外装のデザインや質感、ボディの剛性感、静粛性、メカニズムの信頼性などは「別モノ」。一足飛びに30年くらい進化した感じです。
 そして、2011年7月に今回の主役「現行型C4」が上陸します。エクステリアは先代より若干個性が薄まった印象を受けますが、その佇まいは一層エレガント、というか上質になって、ひとクラス上のクルマになったみたいです。
 さらにインテリア。シトロエン・テイストがビンビン五感を刺激してくれますよ。ダッシュボードには柔らかな手触りにこだわった「スラッシュスキン」、ステアリングホイールの感触やデザイン、オーディオのダイヤルや速度計の針にいたるまで、まさに「こだわり」のかたまりです。特に夜間のインパネ照明は凝りに凝っていてググッと雰囲気を盛り上げてくれます。最近のシトロエンは「らしさ」が薄まったと評する人がいますが、僕は逆に濃くなっていると思います。

 で、走り出せばもう「目から鱗」ですよ。そのカッチリとしたボディの剛性感には驚かされます。シトロエンと言えば「ユルユル」というイメージがありますけれど、なんの! 現行型C4はドイツ車に引けを取りません。
 そして、ハイライトはしなやかな足。その絶妙なストローク感は「さすが」です。「ハイドロ」と同じフィーリングと言っても過言ではありません。エクステリアやインテリアのデザインだけではなく、乗り心地もしっかり「シトロエンしている」のです。流行でもあるドイツ車的な硬めの足に迎合しないところが「らしく」て好感が持てますよね。
 なんだか、C4のことを褒めまくってしまいましたが、個人的にはホントに良くできたクルマとしておススメできます。「セダクション」はデモカー物件でも200万円台半ばの予算があればOK。狙い目ですよ。

C4 セダクション
●全長×全幅×全高:4330×1790×1490mm
●車両重量:1310kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHC 1598cc
●最高出力:120ps/6000rpm
●最大トルク:16.3kgm/4250rpm
●燃費:12.1km/L(JC08モード)
●変速機:4段AT
●駆動方式:前輪駆動
●タイヤサイズ:205/55R16

取材車両
C4 セダクション
2011年式/走行4,600km/ブラスク/検2014.2/パノラミックガラスルーフ付き
車両価格:228万円

質問:42歳・男性Cさん・オーナーシェフ(神奈川県横浜市)
3年前に独立し、小さなフレンチ・レストランを経営しているシェフです。当初は厳しい経営が続きましたが、顧客も増えてようやくお店を軌道に乗せることができました。帰宅が遅くなりますし、仕入れもありますのでこれまで軽自動車を足に使っていました。でも、ある時常連さんに「フレンチ・レストランのオーナーシェフが軽自動車じゃセンス疑われるよ(笑)」と言われハッとしました。お客様ってそういうところまで見ているんですね。お客様に「なるほど、さすがセンスいいね」と言わせるようなクルマを教えてください。ちなみに一応経営者ですから派手な大きいクルマはNG、というかそんな予算もありませんし……。

 なるほど、そういう事情があるのでしたら、認定中古車.comにおまかせください。Cさんの相棒に相応しい条件は、通勤や仕入れなどに便利に使えて、スタイリッシュだけれど「バブル的」な派手さを感じさせない。ギラギラではなく、キラッと光る。こんな感じですよね。そうなるとこれしかないでしょう。ズバリ! シトロエンDS3を推挙します。
 DS3はC3と基本コンポーネンツを共有する兄弟車です。でも、コンセプトも違えば、スタイリングもインテリアも、乗り味も、そして楽しみ方もまったく異なるクルマです。DS3には3ドアの設定しかありません。徹底しています。とにかくスタイリングを見てください。デザインには好みがありますから、いい加減なことは言えませんが、「センスも個性もない」と思う方はまずいないでしょう。理屈じゃありません、完璧なまでにスタイリッシュですよ。いやー、やっぱりシトロエンはいい仕事をします。シャープなフロントマスク、サメの背びれをイメージさせるBピラー、凝ったアルミホイールのデザイン、ボディとルーフのカラーコーディネートなど、ギラギラ・ゴテゴテしていないけれど、キラッと光る鋭さがある。もう、「デザイナーズカー」の領域ですよ。3ドア・ハッチバックですが、Cさんの使い方を考察すればドアは3枚で問題ないでしょう。

 実は、DS3はボディとルーフを塗り分けることが基本になっていて、サイドミラーやアルミホイール、センターキャップ、ダッシュボードやシフトノブまで、様々なカラー・コンビネーションが楽しめる仕組みになっています。ということは、認定中古車にも様々な組み合わせの個体があるわけですから、選ぶ楽しさも味わえます。せっかくDS3に乗るのですから、ここにはこだわりたいですよね。
 搭載されるエンジンは、1.6リッター直4の自然吸気(シック)とターボ(スポーツシック)。前者が4段AT、後者が6段MTの組み合わせになります。120psと156psですから動力性能にも不足はありませんが、足はスポーツシックがソリッドで硬めの設定になっていることを覚えておきましょう。
 さて、Cさんにおススメしたいのは、街中での扱いやすさを考慮して、自然吸気エンジン+4段ATの「シック」です。思いっきり明るい色を選んでみるのもお洒落じゃないでしょうか。で、ご案内するサンプルカーは、ボディが白、ルーフが水色の「シック」。走行6000kmのデモカー物件が210万円です。
 フレンチ・レストランのオーナーシェフの足にぴったり! お財布にも優しいですし、後悔させないことはお約束できますよ。

シトロエン DS3 シック
●全長×全幅×全高:3965×1715×1455mm
●車両重量:1180kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHC、1598cc
●最高出力:120ps/6000rpm
●最大トルク:16.3kgm/4250rpm
●燃費:12.5km/L(10・15モード)
●変速機:4段AT
●駆動方式:前輪駆動
●タイヤサイズ:195/55R16

取材車両
シトロエン DS3 シック
2011年式/走行6,000km/ボディ:ブラン バンキーズ/
ルーフ:ブルー ボッティチェリ/検2014.5
車両価格:210万円

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