80年代までのアウディといえば80や90などのCセグメントカーが主流で、よりプレミアムなDセグメントカーはイマイチ影の薄い存在だった。ところが90年代に入ってA6がデビューすると、スタイリッシュなルックスと走りのクオリティが認められて徐々に勢力を拡大、いまやメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズと肩を並べるメインストリーマーになっている。
アウディ100から数えて6世代目、A6になってからは3世代目となるモデルは、C6のコードネームが与えられ2004年7月に登場した。先代よりひとまわり大きくなったボディは同じセグメントに属するライバルたちを凌ぐほどだが、クーペのようなルーフラインと跳ね上げられたサイドシルなどのデザインが奏功して貫禄というよりエレガントで洗練されたスタイリングを持つ。もちろんフロントグリルには新世代アウディのアイコンともいえるシングルフレームグリルを採用。インテリアは見やすさと使いやすさを優先した上質でシンプルなデザインとなる。
当初のラインナップは、FWD+2.4リッターV6+CVTの2.4、4WD+3.2リッターV6+6段ATの3.2FSIクワトロ、4WD+4.2リッターV8+6段ATの4.2クワトロ。3.2や4.2に搭載されるパワーユニットは当時のA8やS4、またTTなどと排気量は同一だが、実はキャリーオーバーではなく新たに開発されたもの。サスペンションはフロントが4リンク式、リアはA8譲りのトラペゾイダル式マルチリンクが採用されている。
2007年8月には、燃費と動力性能を高次元で両立させた新しいバルブコントロール技術のアウディバルブリフトシステムを装備した2.8リッターV6の2.8FSIクワトロを追加設定。そして、2009年1月にエクステリアやインテリアを変更するマイナーチェンジが実施され、エアインテークの拡大やLEDポジショニングランプ内蔵を採用するなどしてフロントマスクがより精悍な印象になった。ラインナップは2.8FSIクワトロと3リッターV6にスーパーチャージャーを装着した3.0TFSIクワトロ、よりスポーティな3.0TFSIクワトロ Sラインの3種で、ついに全車が4WDのクワトロになっている。言うまでもなく、ここまで4WD技術にこだわっているアッパーミドルクラスセダンは他にない。クワトロはA6のアイデンティティと考えていいだろう。
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