ジャガー製アッパーミドルクラスセダンとして約9年という長いライフスパンを全うしたSタイプの後継モデルとしてXFシリーズが上陸を果たしたのは2007年11月のこと。伝統にこだわらず大胆に生まれ変わったXFは、スタイリッシュなクーペスタイルのボディを持ち、インテリアも高級というよりクリーンなスポーティ感を強調した雰囲気になった。さらに、ドアを開いた瞬間に赤く点滅するエンジン・スタートボタンや、始動するとせり上がってくるダイヤル式のJaguar Driveセレクター、また回転して開くダッシュボードのアウトレットなど、数々の新しい演出も採用されている。ルームランプのスイッチもセンサーによるタッチ式となる。
その変貌ぶりに、デビュー前から世界中のモータージャーナリストやクルマ好きの話題になっていたが、販売が開始されるとそれは賞賛に変わっていく。ジャガー製スポーツサルーンの伝統とも言える軽快で刺激的な走りの世界をより高いレベルに進化させていたからだ。
当初のラインナップは、3リッターV6を積む3.0ラグジュアリーと豪華装備の3.0プレミアムラグジュアリー、4.2リッターV8の4.2プレミアムラグジュアリー、そして4.2リッターV8スーパーチャージャーのSV8の4本立て。3.0ラグジュアリーだけは右ハンドルのみの設定で、その他のモデルは右/左の選択が可能となる。
2009年4月には、5リッターV8を積む5.0プレミアムラグジュアリー/ポートフォリオ、SV8の後継モデルとなる5リッターV8スーパーチャージャーのXFRが登場した。
カタログ上の10・15モード燃費はXFRだけが6km/L台だが、他はすべて7km/L台前半。高速での100km/h巡航なら10-11km/L付近を記録するはずだから動力性能を考えれば優秀と言えるのではないだろうか。
ジャガーXFは、ショーファードリブン的な使い方には向いていないかもしれない。でも、走りを楽しむドライバーズカーとしては間違いなく欧州屈指の実力を持つ。認定中古車は400万円台前半でデモカーの流通が本格化しているようだ。内外装の高級感、そして走りの実力を考えればバーゲンプライスである。
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