推挙した理由を説明しよう。もともと現行型S80は大柄なボディを感じさせない軽快でスポーティな走行感覚がセールスポイントだったが、何と言っても2.5T SEはその軽やかさをより際立たせているのだ。フロントに横置きされる直5ターボは、どちらかといえばシャープに吹けあがるタイプだからビシッと締まった足にも合っているし、ボディの剛性感も抜群で緩い感じは微塵もない。そしてハンドリングもすごくいい。とにかく走行感覚は痛快そのもの、ベストS80と評価できるだろう。しかも、追突軽減オート・ブレーキ・システムをはじめ、アドバンスド・セーフティ・パッケージやドライバー・アラート・コントロール、アダプティブ・ブレーキ・ライトなどの安全デバイスも充実している。
さて問題は認定中古車の流通量である。ボルボはオーナーがなかなか手放さないため、S80の主流はまだ初代といっていいだろう。特にここで取り上げた最新鋭モデルの2.5T SEは、ディーラーに下取りが入ってくる確率は限りなくゼロに近い。でも、あきらめないでほしい。都市部の大規模ディーラーなら400万円台のプライスタグを付けるデモカーが出てくる可能性があるのだ。インターネットで検索するだけではなく、電話をかけて在庫状況を確認してみよう。時間をかけて探すだけの価値あるクルマだと思う。少なくとも、両隣が国産ハイブリッドカーだったとしても、奥さんはこれまでのように井戸端会議に参加できるはずだ。
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