この10年、高級グランツーリスモ市場を賑わした牽引役と言って差し支えないアストンマーティンには、世界統一ルールが敷かれた認定中古車制度が存在する。ここ日本でも構築が進む、そんな認定中古車の実体を覗いてみたい。 まず触れておきたい認定中古車の世界統一ルールとは、個体の吟味から始まる。初年度登録から10年以内、走行距離にして13万6000km以内の個体が絶対条件となる。その範囲だけを見ると広そうに思えるが、実際は販売する各正規販売店がさらにクオリティを認めたものでなければならない。実際のハードルは相当に高いと、日本における正規販売店にして常にアジア・パシフィック地域でトップクラスの新車販売数を誇るアトランティックカーズは言う。
 同店は常に5台前後の在庫量を持つが、この日巡り会えた個体は、2010年式のDBSヴォランテ・タッチトロニック2だった。

 元はデモカーとして活躍し、登録から約1年、走行距離5000km強を経て認定中古車となった。デモカー上がりであるがゆえ、素性も使い方も100%掌握しているのはもちろんのこと、DBSのイメージカラーであるクアンタムシルバーをまとい、センターコンソールの素材もDBSだけに用意されるピアノブラックと、仕様も申し分のないものだ。加えて、認定中古車のふたつ目の絶対条件となる140項目の点検整備が施されるから、さらに安心感は倍増する。納車後は3つ目の認定中古車条件となる1年間の認定中古車保証に加え、この個体にいたっては新車保証も継続される。こうした体制を見ると、新車となんら変わらぬ買い物と言っても過言ではないだろう。価格はズバリ3150万円。同モデルの新車価格が3560万円強(2010年式)で、かつオプション装備を加味すると価格差はゆうに500万円を超える。中古車とはいえ新車に近い状態を見るに、実にバーゲンプライスである。

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この個体はトルコンAT方式のタッチトロニック2となる。ゆえにステアリングにパドルが付いて、コンソールまわりはすっきりとしている。センターコンソールの素材はDBSだけに用意されるピアノブラックとなる。

肉厚たっぷりのバケットタイプのシートが備わる。
「DBS」という刺繍がオーナーの心を揺さぶる。
2シーターではなく2+2の室内レイアウト。後席部分にちょっとした荷物やジャケットを放りこむのに便利である。

DBSに搭載されるパワーユニットは、1基ずつ丁寧に組み上げられるというオールアルミ製の6.0・V12ユニット。最高出力517ps、最大トルク58.1kg-mというスーパースポーツカーも真っ青の怪力の持ち主である。

 

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