もちろんアストンマーティンは、過去も今も特殊なブランドである。“認定”という範疇を外したとしても中古車の絶対数は決して多くはない。そもそもアストンマーティンの正規販売店は、日本にわずか4店舗しかないのが現状だ。
だが、根気よく探せばこのDBSヴォランテのように、新車販売されるモデルを認定中古車として手に入れることはできる。
現在、アストンマーティンの新車ラインナップは、スーパースポーツと呼ぶに相応しいV12ヴァンテージを筆頭に、フラッグシップグランツーリスモとして確固たる地位を築き上げるDBS系、ラインナップの主軸の担うDB9系、シリーズ中唯一のV8エンジンを搭載したV8ヴァンテージ系、そして登場間もないアストン流4ドアのラピードなど、似たような顔つきながらバリエーションに富んでいる。いずれもお洒落でどことなく控え目で、だけど野蛮なところも感じさせるアストンマーティンの世界を存分に味わえながら、サイズや車高の問題さえクリアすれば足代わりにも充分使える柔軟性がある。ひとつ具体例を挙げると、タッチトロニック2である。これは、2ペダルMT一辺倒のこのクラスのなかでは希有な存在となったトルコン式ATである。渋滞の多い都心部をストレスなく転がしたい人にとっては外せないポイントだろう。アストンマーティンは、認定中古車制度とのタッグを含めて、日に日に身近な存在になっているのだ。また、ヴァンキッシュのように新車販売が終了したモデルに関しても、認定中古車制度は強い味方になってくれるはずだ。 認定中古車制度を使って、英国流グランツーリスモの究極に触れる。そんなカーライフを満喫するためのインフラや市場は、すでにここ日本には整っているのである。
TEXT:中三川大地
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