こうした価値観を持つ人にとってみれば、これこそが最高峰のアプローチなのかもしれない。究極の1台を、ツルシの状態ではなくオーダーメイドで手に入れる。コウロシュ・マンソリー率いるマンソリーブランドの世界だ。
世界限定たったの15台というマンソリー・サイラスを前に、このカスタマーの世界を紐解いてみたい。元は、誰も触れようとはしなかったベントレーのカスタムで名乗りを上げた彼らである。昨今は、スイスのポルシェ・チューナー「リンスピード」を買収するなどして車種を拡大した。世界中の誰もが認める高級サルーンあるいはグランツーリスモを、これでもかというほど自分色に染める孤高のカスタムブランドとして世界中から注目が集まっている。
日本上陸を果たしたサイラスは、その中でもとりわけ最高峰に位置する。ベースはアストンマーティンDB9だ。そこにマンソリーは、お得意のフルカーボンボディを注入した。エアロパーツやボンネットなど部分的にではない。ボディパネルのほぼ全てがドライカーボン製に置き換えられている。一糸乱れぬカーボン繊維の編み目に、彼らのカーボンへのこだわりを感じる。大型化されたフロントグリルやボディサイドの巨大なエアアウトレットなど、マンソリー流のデザインアプローチあるいは空力デバイスもたっぷり注がれている。
そしてインテリア。「オーナーの感性を満足させるのが我々の仕事だ」と、語るコウロシュ・マンソリーの哲学が具現されるように、マンソリーのインテリアはきめ細かい。過去のモーターショーでは原色や光りモノを多用した派手さに目がいったが、マンソリーの真髄はそこにはない。オーナーの意志を100%反映させたうえで贅を尽くした車室こそマンソリーらしさである。
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