その強靱な肉体と揺るぎのないコンセプトで、デビューから四半世紀以上を経た今でも現役で愛され続けるSUVがメルセデス・ベンツGクラス、通称ゲレンデ・ヴァーゲンだ。21世紀の中頃からは市場を賑わすプレミアムSUVの中核選手として、その開発コンセプトとはうらはらに都会派オフローダーあるいはSUVカスタムのベース車両として世界中から注目された。

 いま改めてGクラスを捉えてみる。数年前までの「猫も杓子もGクラス」状態は落ち着き、腰を据えてじっくりとGクラスを味わう時期に来ているように思う。現在、新車ラインナップにあるのはGクラス生誕25周年を記念して導入されたG55AMGロングV8コンプレッサーと、同型ボディにV8NAエンジンを搭載したG550ロングの2種類のみ。メルセデス・ベンツの認定中古車(サーティファイドカー)でも、この2グレードが中心のようだ。

 そこで注目すべきはサーティファイドカーである。今回、常時50台前後の在庫を揃え、とりわけAMGを中心とするアッパークラスを戦略的に集めるメルセデス・ベンツ浜松和田サーティファイドカー・センターを訪れた。Gクラスだけで8台もの在庫が我々を出迎えてくれたが、そのほとんどは上記2グレードだった。では、1台のG55AMGロングをピックアップしてみよう。

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この個体には当時オプションだったバイキセノンヘッドライトが装着されていた。数年前まではグリルガードが流行ったが昨今はほとんど見かけなくなった。より都会的な印象が高められていったのが、ここ数年の傾向だと言える。

時代と共に現代化がなされたコクピットまわり。同時代の他モデルの部品を巧みに組み合わせながら、しかしGクラスの雰囲気は保たれる。直線基調のダッシュボードやドライバーに近いフロントウインドウなど30年変わらない。

G55AMGロングに搭載される5.5・V8コンプレッサーは迫力満点だ。エンジンをかけた瞬間から空気を震わすサウンドが響き渡りオーナーの心を刺激する。最高出力500ps、最大トルク71.4kg-mは、巨体をものともせず速い。

 

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