Gクラスの中でも一番人気を誇るオブシディアンブラックをまとったこの1台、平成18年12月登録で走行わずか1.3万km。ちょうど最初の車検を迎えた、まさにいまが旬と呼べるような個体だった。新車保証であるメルセデス・ケアこそ終了しているものの、購入後最大2年間、走行距離無制限のサーティファイドカープログラムがあるから安心できる。個体を見る限り、そのプログラムを利用しそうな箇所は見あたらないほど程度は抜群であった。
価格は1148万円と提示されていた。新車価格が1700万円以上というのを考慮するとゆうに500万円以上のプライスダウンである。バイキセノンが装備されるなどオプション装備の内容も申しぶんない。単純に計算すれば3年落ちだが、しかし30年以上も不変のスタイルを持つGクラスにとって3年の違いは微々たるものでしかない、と、そう思わせる無骨さが宿っている。
とはいえ、毎年のように改良が加えられていることも忘れてはいけない。例えば2010年式からはG55AMGロングの標準装着ホイールが19インチとなり、コーナリングライトやバイキセノンヘッドライトが標準装備となるなど、よりオンロードテイストが高められている。それらは確かに魅力的だが、好みや方向性によって不必要と考える人だっているはず。カスタマイズを目論む人ならなおさら。そうした意味で数年落ちのサーティファイドカーは狙い目である。
ちなみに、コンプレッサー付とNAでは、当然ながらコンプレッサーのほうがパワフルで刺激的なのは間違いない。だからといってNAも捨てがたい魅力を持っている。すっきりとした伸びやかなフィーリングを楽しむならNAがオススメだ。この個体とほぼ同じ価格帯で、新車に近いサーティファイドカーを手に入れられるというバリュー性も見逃せない。参考までに、2010年式で走行わずか200kmの個体が、1198万円で店頭に並んでいた。
この個体が具現するように、1000万円台前半が相場にあるGクラスのサーティファイドカーは、そのどれもが個性にあふれ普遍的な価値を持ってユーザーを待っている。一生モノとして共に暮らそうとする人にとっては満足のいくクオリティの個体が並び、数年で乗り換える人にとってもリセールバリューが期待できるのは大きい。カスタムベースとしても格好の存在だ。このように夢が無限大に膨らむGクラスを、いまもう一度見つめ直してみたい。
TEXT:中三川大地
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