2004年に新世代ランボルギーニの2番手として登場したガヤルドは、特殊性が極めて高いムルシエラゴとは一線を画すように、使い勝手の良いユーザーフレンドリーな側面が手伝って、ランボルギーニの牽引役となった。デビューから6年あまり、今回は熟成の域に達したガヤルドに焦点を当ててみたい。

 首都圏屈指の正規販売店として新車、中古車含めて数多くのランボルギーニを送り出してきたランボルギーニ横浜で見つけたのは、2010年式のガヤルドLP550-2バレンティーノ・バルボーニである。デビュー以来、マイナーチェンジを含めいくつもの小改良を受けてきたほか、特別仕様も多いガヤルドの中にあって、LP550-2バレンティーノ・バルボーニの希少性は高い。

 まず世界限定250台であること。かつ四輪駆動にこだわってきたランボルギーニにとって、おおよそ10年ぶりの後輪駆動(MR)であること。さらにMR化を含めた車両開発に、イオタ、カウンタック時代から40年以上にわたってランボルギーニのチーフ・テストドライバーを勤め上げたバレンティーノ・バルボーニ氏が主導で携わった最後のモデルであることなど、新世代ランボルギーニの特徴であるアウディ・コントロールゆえの高品質を維持しながら、旧来からのファンにとっても実に魅力的な1台となった。新車は現在、同氏の名前が付かないLP550-2というMRモデルがラインナップされているが、その発端となったと思われるモデルである。ホワイトにゴールドをあしらった伝統的なストライプを持つ専用ボディカラーが目を引く。が、見た目の装飾はもとより、ダンパー、スプリング、スタビライザー、LSD、ESPなどを始め、ドライビング・ダイナミクスに関する多くをMR化に合わせて専用チューニングした同氏のメカニズムに関するコダワリは数知れずある。ひたすら安定感を求めた四輪駆動モデルに対して、これはクルマを手足のごとく操る楽しさを際立たせている。最低限の安全性を確保しつつ、カウンタック時代にあったある種の“危うさ”を秘めたドライビング感覚は刺激的だ。LP560-4より最高出力が10ps低められているとはいえ、それでも550psもあるのだ。それを後輪のみに伝達するスーパーカー・パッケージは実に玄人好みだ。

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エクステリア同様、インテリアもホワイトのストライプが入ったコーディネイトとなる。インパネの基本的な形状は他のモデルと同じ。2ペダルMTのeギアは、高年式になるに連れてより制御が洗練されて使い勝手が良くなった。

現代流ランボルギーニの顔を生み出すヘッドライト。V字型のLEDはひとめでランボルギーニと分かる。最新アヴェンタドールにも通じる表情である。また、この個体にはオプション扱いとなるライトパッケージが装着されていた。

前後とも19インチの「スコーピウス」というホイールが装着される。その中に収まるカラーブレーキキャリパーはLP550-2バレンティーノ・バルボーニの専用装備でボディカラーによってブラック、イエロー、オレンジとなる。

 

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