端整な3ボックススタイルや、丸目2灯、Jゲート式ATセレクターは、もはやどこにもない。ジャガーXJシリーズの現行X351型は、自らが育んだ伝統を敢えて切り捨てたかのような大胆なスタイルへと変貌を遂げた。。

日本発売から既に1年が経過したが、これがなかなか販売が好調のようである。現時点でエンジンは5.0Lのみ、価格も1000万円からと、よりアッパーサルーン色が強くなったにしては、このご時世にあって堅調な滑り出しを見せる。

 さて、発売から1年が経ったことで現れ始めるのが認定中古車である。もちろん一般ユーザーの下取りはまだ多くはない。いや、いいものを長く使うという英国文化に共感を覚えるユーザーが多いため、短期的な乗り換え層は他ブランドよりもむしろ少ない。今の時期は、各正規販売店が持つデモカーが一斉に認定中古車として市場に降りてくる。今回はそこに注目したい。

 首都圏屈指の正規販売店、株式会社ジャガー東京の認定中古車部門「世田谷アプルーブドカーセンター」には、この日2台のXJがあった。販売上の主力グレードたる、プレミアムラグジュアリーとラグジュアリーだ。同社のデモカーとして活躍し、登録から1年が経ってその役目を終えて、認定中古車となった。プレミアムラグジュアリーの価格は960万円、ラグジュアリーが860万円という価格は、新車価格を含めた内容を見ると驚愕のプライスだと感じる。プレミアムラグジュアリーの新車価格は1150万円、ラグジュアリーは1000万円ジャスト。プレミアムラグジュアリーを取ってみると、さらにオプションパックや20インチホイール、Bowers & Wilkinsの1200Wプレミアムサラウンドシステムなどが加わっていて、諸費用を含めた新車乗り出し価格は1300万円に届くほどだと思われる。それがたった1年、走行距離にして約7000kmを刻んだだけで、1000万円を切っているのである。

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端整な3ボックススタイルから流麗なルーフを持つファストバックスタイルへと変貌を遂げたX351型XJ。細長いティアドロップ式のサイドウインドウがとても個性的だ。しっかりと独立したトランクルームを持つので利便性も高い。

プレミアムラグジュアリーの標準は19インチだが、このXJにはオプションの20インチが組み合わされていた。タイヤ銘柄はまだ新品に近い状態のダンロップSP SPORT MAXX GT。サイズはF:245/40ZR20、R:275/35ZR20となる。

搭載されるエンジンはAJ-V8 Gen3ダイレクトインジェクションを搭載した4999ccのV8ユニット。最高出力385ps、最大トルク52.5kg-mのスペックもさることながら、ジャガーらしいしっとりとした乗り味は実に快感だ。

 

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