整理してみると、現行型の新車価格は1550万円だ。そこから考えると、定番のオプション品を含めた乗り出し費用は1700万円近くになるはず。と、考えるとこれがいかにバリュー価格なのかが解る。XKシリーズ全体の相場を見ても1000万円を超えるのが普通な昨今にあって、Rシリーズの、しかも人気のアルティメイトブラックが999万円というのは本当に驚く。
しかも、それが“安かろう悪かろう”とはならないのがいい。先に述べたオプション装備や仕様はもとより、販売するジャガー横浜は、とにかく品質に重きを置いている。デモカーや自社で販売した下取り車のみ、いわゆる“純血”の車両しか販売しない姿勢を貫き、たとえ純血であっても程度に満足できなければ販売しないという徹底ぶりだ。加えて、同店はかつてPDIセンターを務めたこともあり、長らくジャガーの整備に精通してきたスタッフ達が手塩にかけてコンディションを維持してきた点も見逃せない。ジャガーのサービスにはJSTCテクニシャンという、いわばマイスター制度が設けられている。同店はサービススタッフのほぼ総てが一定以上のレベルを獲得しており、全国に数えるほどしかいない最高位レベル4のスタッフまで在籍する。サービス工場の歴史が長いことから、古いモデルへの対応力が高く、様々な技術が受け継がれている。
さらにこの個体は、初年度登録から18ヶ月以内の正規販売店のデモカーもしくはワンオーナーカー、車両修復歴&改造歴ナシというくくりにあり、ジャガーのプレミア・コレクションに相当する。よって新車保証継承に追加して1年間の走行距離無制限保証が適用される。新車保証残(2年弱)+認定中古車保証1年という新車と変わらぬ保証期間、内容が約束されるのである。
まもなくマイナーチェンジを迎えるXKシリーズにあって、新車をオーダーしても手元に届くのは早くて半年後になるという。そうした中にあって、納車前点検整備および登録業務さえ終われば即納されるという迅速性も無視できないところだ。時間と共に価値の薄れることのないジャガーのような奥ゆかしきブランドにこそ、こうした認定中古車は特にお勧めできる。常に最新を追い求めるせっかちなカーライフから一歩距離を置いて、このXKRを心ゆくまで楽しむ。そんなカーライフがとても魅力的に映る。
TEXT:中三川大地
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