ポルシェと言ったらいまは、生まれ変わった911(タイプ991)の話題で持ちきりだ。2011年のフランクフルトショーで初公開されたそれは、全面刷新という言葉が相応しいほどの変化を遂げていた。

 タイプ991は、先行受注も開始されて発売は秒読みに入った。が、日本の路上を走り始めるのは早くて2012年の5月以降になるという。と、すると市場の現役選手はまだタイプ997だが、新車販売は最終局面にさしかかっていて、日に日に手に入れるのが難しくなっている。GT3系やターボ勢といったスペシャルモデル以外の、いわゆるボトムレンジを担うカレラ系のほうが生産終了は早くなりそうだ。いまでも納期未定というような声は届いている。

 という微妙なこの時期に、注目すべきは認定中古車である。もともとポルシェは長期的な信頼耐久性と、それに裏打ちされる認定中古車の品質には定評がある。「初年度登録から9年、走行距離20万km以内」という認定中古車の資格範囲の広さが、なによりその証拠だ。その上でタイプ997のような高年式車両ともなれば、もはや新車となんら変わらぬ気構えでいられる。

 今回、注目したのは、タイプ997のなかでも高年式中の高年式に該当する、いわゆるマイナーチェンジ後の現行型911だ。DFIと呼ばれる直噴エンジンに、PDKも組み合わせられるようになった911である。全国的にこうした個体はまだまだ在庫がいくつも存在するが、しかし昨今の経済不透明性に、新車供給の薄さも手伝って、相場は徐々に上がる方向だという。991への乗り換えによる中古車の拡大は、まだ来年以降になる気配だ。ということは、ポルシェ997を探す人にとっては、まさに今がラストチャンスということになる。

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計器類の位置関係や、操作系の取り回しなどナロー時代から首尾一貫して不変なインパネは、いかにもドイツ品質のグランツーリスモらしい。PDK仕様であり、かつ標準装備のクラリオン製のナビが装着されるなど使い勝手は良好だ。

ヘッドレストが一体化した911の伝統的な形状を持つシートが備わる。ホールド性が高く、長時間の走行でも疲れない秀逸なシートだ。ブラックレザーという素材はキズも汚れも目立たないうえに、この個体は新車に近いような状態だった。

スポーツクロノパッケージを選ぶとダッシュボードの中央上部にアナログ式のストップウォッチが備わる。同パッケージは、そのほかPDKのシフトスケジュールやアクセルレスポンスが変化させるなどの機能で、997人気装備のひとつ。

 

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