全国展開するポルシェセンターネットワークのなかでも、とりわけ品質には定評のある老舗販売店、ポルシェセンター宇都宮で見つけたのは、アークティックシルバーの外装色に、ブラックレザーの内装をまとったカレラである。後期型として最初に販売された2009年式の個体であり、2年半という時間が経ったにしては走行距離が少なめの1万5000km。PDKやスポーツクロノパッケージなどツボを抑えた仕様になっているうえ、内外装に些細なキズもなければヘタリも感じられない。かつ後輪タイヤは新品に履き替えられるなどの大盤振る舞いを見せつつ、価格は898万円と提示されていた。
2010年式の新車価格1086万円、当時の新車価格が1200万円近くにあったことを考えると、そのバリューが理解できるはずだ。2〜300万円のプライスダウンはもとより、納車前点検整備と登録のみで即納できるメリットは大きい。繰り返すが、タイプ997の新車オーダーは先行き不透明なのである。 こうした997の後期モデルとなれば、この個体のように8〜900万円台というのが現時点での一般的な相場だ。新古車に近いと1000万円を超えることがあるし、距離や時間を刻んでいれば700万円台になることもある。参考までに前期型タイプ997の場合は、600〜700万円台にボリュームゾーンがあり、敢えてそちらを探すのも手だ。ケイマン、ボクスターの新車と同様の投資で911が手に入るとなれば触手が動く人も少なくないはずだ。
ポルシェ911は過去の例を見ても明らかなように、リセールバリューにだって相当に期待が持てる。もちろん、一生モノとして付き合うにも必要充分な信頼耐久性と、なにより走りの楽しさを持っている。タイプ991を期待して待つと共に、こうした997の認定中古車を探して自分の相棒とするのも、また同様に魅力的だ。いつの時代もどのモデルも、最高峰のグランツーリスモ性能を発揮するポルシェ911だからこそ、こうした認定中古車をお勧めしたい。
TEXT:中三川大地
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