いよいよというべきか早速というのか、アストンマーティンV8ヴァンテージSがアストンマーティンの認定中古車「ASSURED」に並んだ。目映いばかりのコバルトブルーをまとったそれは、アストンマーティンの正規販売店として10年以上の歴史を持ち、アジア・パシフィック地域全体を通してもトップクラスの新車販売台数を誇るアトランティックカーズに佇んでいた。

 英国のハイエンドなグランツーリスモとして名高いアストンマーティンだが、そのラインナップはいまや悩ましいほどの選択肢がある。己のコンセプトを究極的に昇華させたフラッグシップのDBS、ラインナップの主軸を担うDB9、そしてアストン初の4ドアをまとうラピード、登場間もないヴィラージュと、V12気筒搭載モデルだけでもこれだけ存在する。そしてその間を縫って存在するのが今回取り上げたV型8気筒モデル「ヴァンテージ」である。

 厳密に言うとヴァンテージにもV12ヴァンテージという、アストン流スーパースポーツを具現したV型12気筒モデルがある。とはいえ基本はV8で、それは今までボトムレンジを担う存在だった。しかし、今年になってV8ヴァンテージSなるモデルが登場した。それは、いわばポルシェ911にとってGT3のような位置付け。2ペダルMTのスピードシフトは待望の7速化されギアレシオがクロスしたほか、エンジンの出力も436psへと高められた。足まわりやブレーキも相応に強化され、スポーツムードを高めたエクステリアが構築される。このV8ヴァンテージSが発表されたのは2011年のジュネーヴショーで、日本に上陸したのは同年の4月末だという。そう考えると、冒頭に挙げた認定中古車の登場が、いかに早いタイミングであるのかというのがわかる。

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小径のアルカンタラステアリングがいかにもアストンらしい。V8ヴァンテージSは7速のスピードシフトUのみのラインナップ。ステアリングコラムにパドルシフトが付く。この個体には擦れや汚れなど一切見あたらなかった。

外装色に合わせてシートステッチもブルーなのが特徴的。大柄バケットタイプのシートは疲れ知らずで長距離をものともしない。よりスポーツカーらしさを求めるのなら、カーボン製ライトウエイトシートがオプションで用意される。

オプション装備となるピアノブラックインテリアパックが装着されていた。深みのある光沢は、アストンの世界観によく似合う。センターパネルのデザインは昨今のアストンに準じたデザインで、高級感があり操作性も良好だ。

 

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