この個体は、アトランティックカーズがデビュー早々に導入したデモカーだった。2012年への年越しを前にして役目を終えたというわけだ。といっても、走行距離はまだ2000kmほどだし、ほぼショールームを含めた屋内に保管されていたからか、内外装ともに新車と見間違うばかりの状態だった。

 さらに付け加えると、デモカーという役目を担ったためか、装備品は充実している。ピアノブラックインテリアパックに、アルカンタラのステアリング、カーボンファイバーサイドストライクなど、V8ヴァンテージSの個性を引き立てるアイテムが多数装着される。個性と言えば、このコバルトブルーはV8ヴァンテージSと共に登場した新色で、同モデルのイメージカラーとして設定されているものである。この個体はインテリアに張り巡らされたステッチもブルーという、実に粋なコーディネイトだった。

 気になる価格だが、現時点では店頭に並ぶ直前の段階なので「ASK」ということだった。新車価格は1753万円であり、この個体のオプション装備総額は150万円を超えている。新車なら1900万円オーバーは必須だろう。それが、なかなかの割安価格で提供する意向があるというから楽しみである。

 いまこの仕様を新車でオーダーしても納車まで半年以上は待つことになるだろう。それに対して認定中古車は、納車前整備点検のみで即納されるという点も嬉しい部分だ。アストンマーティンの認定中古車「ASSURED」は、140項目の点検整備を施した上で、1年間の保証を付けて販売されるから、安心感もこのうえない。参考までにこの「ASSURED」の基準は、初年度登録から10年以内、走行距離13万6000km以内と広い範疇にあり、そこから各販売店がそのクオリティを認めたものとされている。タイミングが合えば、既に販売を終了したヴァンキッシュなどを見つけることもできるから、今回のV8ヴァンテージSのみならず、「ASSURED」に今後も注目していきたい。

TEXT:中三川大地

PREV PAGE

搭載されるエンジンはV8ヴァンテージと同様。4735ccのV型8気筒自然吸気だが、最高出力は10psアップの436psへ。最大トルクは2.0kg-mアップの49.9kg-mとなる。7速になりクロス化したミッションとの相性は抜群だ。

装着される19インチホイールは、Vスポークダイヤモンドターンドグラファイトと呼ばれる仕上げが施されている。角度によって表情が変わる美しいホイールである。その中に潜むのはローター径380mmという大型ブレーキだ。

リアに備わるカーボン製ディフューザーはV8ヴァンテージSだけの専用装備。既存モデルは裏側にミッションオイルクーラーが装着されていたが、ミッションが空冷化されたために必要なくなり、より軽量化が促進されている。

ASTON MARTIN
V8 VANTAGE S

2011年 検2014年5月
走行距離2,000km
コバルトブルー
¥ ASK

アトランティックカーズ

東京都港区麻布台2-3-3
Tel.03-3583-8611

 

.