ピックアップトラックにシェルを被せただけの、アメリカの若者のレジャーツールというのがSUVの発祥ならば、このブランドはそれとは違う生い立ちを持つ。英国の貴族が荒野の足に使い活躍してきた高級クロスカントリーがランドローバーというブランドであり、それは牽引役として1970年に生まれ現行型で3代目を数えるレンジローバーに受け継がれている。

 昨今は、国籍を問わずゴージャスかつパワフルな4輪駆動車はプレミアムSUVとして一緒くたになっている。今回はここ最近の成長ジャンルだったプレミアムSUVのなかで、その祖とも言えるレンジローバーに注目したい。サードレンジと言われる現行型は、既にデビューから10年弱が経つ長寿モデルだ。紆余曲折を経たランドローバーのブランド権の移行にもまれ、BMWが開発してフォードが引き継ぐという異例の開発体制だった。デビュー当初はBMW製4.4・V8エンジンが搭載されていたが、2005年にはジャガー製の4.4・V8および4.2・V8スーパーチャージドに変更された。その後、2009年末にはNA、スーパーチャージド共に5.0L化され現在に至る。内外装の意匠および装備品の変更点にまで言及すれば変遷は多岐にわたるが、エンジンという観点から見る限り、こうした3世代に分類される。

NEXT PAGE

見切りの良いすっきりとした操作系はもとより、ウッドパネルとアルミ削り出しを組み合わせたインテリアの意匠はいかにもレンジローバーらしい。日本仕様は全車右ハンドル。メーターまわりはTFTを使った全面液晶タイプとなる。

いかなる温度域でも身体に馴染んで肌触りの良いパーフォレイテッドオックスフォードレザーの前後シート。フロントはシートヒーター&クーラーが装着され、リアにもシートヒーターが付く。後席は独立ヘッドレストが装着される。

この個体にはナビはおろかフルセグも装着済み。テレインレスポンスやサラウンドビューカメラの設定によって、いかなる環境下でも走破性や扱いやすさが向上した。手袋のまま操作のできる空調類の操作系もランドローバーらしい。

 

.