カーレビュー

 世界で240万台以上が販売され空前の大ヒットとなった初代トゥインゴの後継モデルとして二代目が上陸を果たしたのは2008年11月。半円形の可愛らしい目はキリッとしたアーモンドアイに刷新され顔つきはガラリと変わったものの、抑揚のついたサイドのラインや半円形スリットのなかに隠されているドアノブなど、至る所にさりげなく初代の特徴がちりばめられている。スリーサイズは全長3600×全幅1655×全高1470mmで、同じようなボディ・ディメンションを持つ国産車を探すとなるとこれが意外となくて、トヨタ・ヴィッツやスズキ・スイフトよりひとまわり小さく、三菱・アイよりひとまわり大きいボディと考えていいだろう。導入されているのは、ベースグレード、GT、ルノー・スポールの3車種。ここではベースグレードを紹介していこう。

 ベースグレードに搭載されるエンジンは自然吸気の1.2リッター直4SOHC16Vで、組み合わされるのはこのモデルの最大のトピックとなるクイックシフト5と名付けられた2ペダル・MTだ。走り出してまず驚かされるのはこのトランスミッションの変速マナーが非常に良いこと。通常のトルコン式ATと比較すると一般的にこのタイプはシフト・アップ時のギクシャク感がついてまわるのだが、そんなイメージを吹き飛ばす完成度の高さを持つ。エンジンとの相性も抜群で、それほど高回転まで引っ張らず小気味よくシフトアップしてくれるからATモードでもスムーズに走れるのだ。自らの手でシフトアップ・ダウンするのが2ペダル・MTの本分なのだろうが、クイックシフト5はそれを忘れさせてくれるほど。しかも、常にエンジンの最もおいしい部分を引き出し、75ps/10.9mkgとは思えない力強さも味わわせてくれるのだ。

 また、サスペンションも実にしなやかなで乗り心地はいい。特に高速道路での安定感はお見事! その実力は実用コンパクトカーの領域を超えていると言っても過言ではない。先代と同様、後席は左右独立してスライドできてシートバックも調整が可能だ。ちなみに、高速での100km/h巡航では25.0km/L前後の燃費を記録するから家族旅行などにもガンガン使えるだろう。安く買って、低コストで乗れる。でも、その走りは決して安っぽくない。

●全長×全幅×全高:3600×1655×1470mm ●ホイールベース:2365mm ●車両重量:980kg ●エンジン形式:直列4気筒SOHC、1148cc ●最高出力:75ps/5500rpm ●最大トルク:10.9mkg/4250rpm ●変速機:5段セミAT ●駆動方式:前輪駆動 ●タイヤサイズ:175/65R14