カーレビュー
 

 各シリーズの頂点に君臨するクルマ好き垂涎のモデルと言えば、M社がファインチューニングを施したMを冠するモデル。トップグレードを担う高級車であることは間違いないけれど、オーナーは豪華装備ではなく、磨き抜かれたメカニズムが紡ぎ出すその走りと、M社の哲学そのものに代価を支払うと考えるべきだろう。1980年代まではツーリングカーレースで勝つことを目的として開発されたM。でも1990年代に入ると、レーシングカーではなく、走りのクオリティとパフォーマンスにこだわった究極のロードゴーイングスポーツカーというコンセプトに大きく梶を切った。

 現行モデルのラインナップを紐解いてみよう。まずは2007年9月に登場したE90/E92をベースとするM3。言うまでもなく人気ナンバーワンのMだ。搭載される新開発の4リッターV8は420ps、その最高出力は8300rpmで叩き出されるからMの伝統を継承する典型的な高回転型ハイパフォーマンスユニットだ。セダンとクーペにそれぞれ6段MTとF1マシンの技術を取り入れたMダブル・クラッチ・トランスミッション(7段AT)が用意される。

 E60をベースとするM5は2004年11月に上陸。搭載されるエンジンは500psを超えるレーシングカー並みのパワーを叩き出す5リッターV10だ。パワーユニットやトランスミッション、サスペンションなどに最新の技術が投入され、動力性能と快適性のバランスを高いレベルで融合させることに成功している。まさしく、究極のスポーツサルーンという名が相応しいだろう。

 そして、E24のM6を源泉とするE63/E64型M6がラインナップに加わったのは2005年9月。搭載されるのはM5と同様の5リッターV10で、クーペとソフトトップを採用するカブリオレが用意されている。

 さて認定中古車だが、その数は非常に少ないと考えていい。それでもM3なら大規模ディーラーで何とか探せる状況にあるものの、M5やM6はなかなか出てこないから狙っている方は予約を入れておいたほうがいい。3モデルに価格の差はほとんどなく、600万円台前半から900万円付近が目安。また、E46のM3やMクーペ、Mロードスターも1年に数台は流通するからこちらも見逃せない存在となる。500万円を切る個体も出ているのでフリークの方はしっかりチェックしておいたほうがよさそうだ。