カーレビュー

 まずはトゥインゴRSである。ベースのトゥインゴにはGTがあるが、そのわずか10万円アップという250万円で新車のRSが手に入るというバーゲンプライスにまず驚く。GTが高いのか、RSが破格なのか、と言われれば間違いなく後者だろう。なにせ車格からすれば大きな1.6Lエンジンをがっつりチューニングして搭載し、最高出力134psを6750rpmで発揮させる高回転型ユニットに仕上がっているのだ。それを受け止めるようにサスペンションは10mmローダウンされ、かつトレッドを前後とも60mm拡大。オーバーフェンダーを装着して全幅は35mmも広くなっている。ボディを見わたせば、ガンメタに塗られたフォグランプまわりやドアミラー、リアスポイラー、そして17インチホイールが明らかにベースモデルとは異質の雰囲気を放っている。

 走りはさすがに痛快だ。路面の段差をモロに伝えるハードな乗り心地を持っている。しかし、バケットシートのおかげで意外とストレスは感じない。フロントシートはRS専用となり、腰をすっぽりと保持しつつ座面はGTよりむしろやわらかい。着座位置も低くてスポーティーと、これだけでも選ぶ価値があると思えるほど。シートベルトやステッチがオレンジなのもおシャレだ。

 高回転型とはいえ、2000rpm以下でも充分使える。3ペダルの5速MTとはいえイージードライブも可能だ。さらに、4000rpmで音が変化してスポーツドライビングの世界へと誘ってくれる。ギア比が高く高速ロングクルージングは得意ではないが、吸気音やエンジンの音など、車内に侵入するサウンドは、まさしく往年のホットハッチのそれだった。