カーレビュー

 ポルシェが初めてスポーツカー以外のマーケットに投入するクルマとなったカイエン。ドイツ国内では2002年、日本では2003年にデリバリーが開始された。デビュー前は、ポルシェがSUVをリリースすることに賛否両論あったものの、販売を開始してみれば空前の大ヒット。どのモデルも1年以上の納車待ちとなり、中古車はプレミア価格で新車を超えるプライスタグが付いた。もちろんいまも高い人気を誇っていて、スポーティを標榜するSUVのベンチマークになっていると言っても過言ではないだろう。

 カイエンはVWと共同で開発が行われたため、トゥアレグと共通のプラットフォームを持つ。当初用意されたパワーユニットは、3.2リッターV6/4.5リッターV8/4.5リッターV8ターボの3種。2006年には、V6/V8とも、3.6リッター/4.8リッターにスープアップ、また内外装を変更するマイナーチェンジが実施されている。

 さてカイエンの走行感覚だが、VWトゥアレグと兄弟車とはいえ、まったく別物のフィーリングに仕上がっていると断言できるだろう。カイエンの感触はやはりスポーツカーで、トゥアレグはセダンなのである。実際カイエンはどのモデルも、SUVとしては常識を越える動力性能を持っているし、ドライバーズシートに座ったときの印象は911そのもの。もちろん、悪路の走破性も高いレベルにあるが、高速走行で披露してくれる怒濤の加速力はライバルたちを寄せ付けない魅力だと言えよう。サーキットを走らせても、550ps・76.5mkgの強大なパワーとトルクを発揮するターボSはもちろんのこと、ベースモデルのV6でさえ、並のスポーツカーを超えるタイムを叩き出すのだ。
アウトドアを趣味に持つ方はもちろんのこと、長距離走行が多いビジネスマンにもお薦めしたい。