カーレビュー

 楕円形のヘッドライトがクラシカルな印象を醸す997のコードネームを持つ911がリリースされたのは2004年のことだった。用意されたパワーユニットは、先代996に搭載されていたフラットシックスにファインチューニングを施した3.6リッター(カレラ)と新エンジンの3.8リッターユニット(カレラS)の2種。その後、このエンジンを基本に、カレラ4やカブリオレ、GT3などラインナップを充実させていく。そして2009年モデルでタイプ997はフェイズUに進化、パワーユニットは全面的な刷新を受け、ご存じのようにデュアルクラッチ式トランスミッションのPDKも採用された。

 新設計のフラットシックスにも触れておこう。カレラが3.6リッター、カレラSが3.8リッターという排気量に変わりはないものの、直噴インジェクションを採用し、構造的にもよりシンプルになっているからフェイズTとは別物のユニットと考えていい。パワーアップだけではなく、燃費の向上やメインテナンス性の向上、また環境にまで配慮したフラットシックスに進化しているのだ。もちろん、力強いビートを刻みながら高回転域で鋭さを増すフィーリングは911の名に恥じないものだし、第一級の加速力も持っている。ドライバーを存分に楽しませてくれるのは間違いないだろう。PDKとの相性も抜群にいい。

 ラインナップは、ノーマルのカレラから4WDのカレラ4、また屋根の開くカブリオレやタルガ、また480psのターボや530psを叩き出すGT2など、非常に幅広い。

 「最新こそ最善」とは、クルマ好きには聞き慣れたポルシェの発信する台詞だ。997にも、間違いなくこの言葉が当てはまると思っていいだろう。