カーレビュー

 新世代ポルシェの象徴となるモデル“ケイマン”がデビューしたのは2005年のこと。当初は295psの3.4リッターユニットからスタートして、すぐに2.7リッター搭載モデルを追加設定している。ロードスターのボクスターをベースに、スチール製のルーフを合体してサスペンションをチューニング、さらにパワーアップしたフラットシックスをミドに搭載するのが基本的な成り立ちだ。ゆえにフロントマスクやドアはボクスターと同一だが、リアフェンダーとテールエンドの造形は大きく異なる。

 快音を奏でながら、シャープにレッドゾーン付近まで回るフラットシックス、0-100km/hを5秒台前半で加速する動力性能、ミドシップレイアウトならではの回頭性とさらにレスポンスに優れるハンドリング、どれをとっても911に負けないクオリティを持つ。いや、911以上にスポーツカーらしいダイレクト感が味わえるといっても過言ではないだろう。そう、ケイマンは911の廉価版やボクスターのクーペ版ではない。独自の個性が与えられたミドシップ・ポルシェなのだ。

 さて2009年からは、前述した911と同様に直噴エンジンとPDKが搭載されたマイナーチェンジ版がリリースされている。一言で言えばより扱いやすく、より楽しめるスポーツカーに進化を遂げたということになるだろう。そのフィーリングは、空冷ユニットの最終となったタイプ993カレラに近いかもしれない。空冷911カレラの感触が忘れられない方は、ぜひケイマンに試乗してみるといい。もしかすると目から鱗が落ちるかもしれない。そこには「ポルシェを着る」感覚が確かに息づいているのだ。