カーレビュー

 初代Aクラスの後継モデルとしてW169のコードネームを持つ二代目が登場したのは2005年2月だった。ラインナップは1.7リッター直4のA170(ベースグレード)と本革巻ステアリング&シフトノブなどの装備が充実したA170エレガンス、2リッター直4を積むA200エレガンスの3本立て。高級感の増したフロントマスクやスタイリッシュで抑揚のあるサイドのライン、そして質感が桁違いに向上したインテリアが特徴。もちろん、エンジンやギアボックスの一部を2重フロアの下に落とし込むように搭載する“サンドイッチ・コンセプト”は先代より踏襲している。同年11月にはスポーツサスペンションや17インチ・アルミホイールなどを備える2リッター直4ターボのA200ターボ・アバンギャルドも上陸を果たした。組み合わされるトランスミッションは全車が無段変速のCVTとなる。そして、2008年8月にフロントグリルのデザインやインテリアを変更するマイナーチェンジが実施され、翌年にはA170系の名称がA180/A180エレガンスとなった。

 さて、初代Aクラスも秀作に違いないが、W169は各パーツのクオリティをさらにブラッシュアップして完成度をより高いレベルに引き上げ、劇的な進化を果たしている。特に乗り心地はコンパクトカーの領域を超えていると言っていいだろう。サスペンションのストロークがたっぷりあるから不快な突き上げとも無縁、路面のザラつきまで見事に遮断する。ボディの剛性感もW168とは比較にならないほど数段上のレベルにまで高められている。初代は「コンパクトカーにしてはいいんじゃない」だったけれど、二代目はどこをどう走っても、まさしくメルセデス・ベンツの感触。大げさな話ではなく、街中でも高速道路でも乗り心地はCクラスとほとんど変わらない。そう、W169は末っ子でありながら、兄貴たちと同様のメルセデス・ベンツらしい重厚感を身につけているのだ。キャビンもハッチバックというよりモノスペースカー的な作りが奏功してけっこう広いし、全高があるためラゲッジスペースの実用性も高い。これなら、シティ・コミューターとしてだけではなく、家族旅行などにも充分使えそうだ。

 いまW169の認定中古車は200万円を切る物件が増えているという。安い! 乗ってみればその価値がわかる。

A170

●全長×全幅×全高:3850×1765×1595mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1310kg ●エンジン形式:直列4気筒SOHC、1698cc ●最高出力:116ps/5500rpm ●最大トルク:15.8mkg/3500-4000rpm ●変速機:CVT ●駆動方式:前輪駆動 ●タイヤサイズ:185/65R15

A170エレガンス

●全長×全幅×全高:3850×1765×1595mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1310kg ●エンジン形式:直列4気筒SOHC、1698cc ●最高出力:116ps/5500rpm ●最大トルク:15.8mkg/3500-4000rpm ●変速機:CVT ●駆動方式:前輪駆動 ●タイヤサイズ:185/65R15

A200エレガンス

●全長×全幅×全高:3850×1765×1595mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1320kg ●エンジン形式:直列4気筒SOHC、2034cc ●最高出力:136ps/5500rpm ●最大トルク:18.9mkg/3500-4000rpm ●変速機:CVT ●駆動方式:前輪駆動 ●タイヤサイズ:195/55R16

A200ターボ・アバンギャルド

●全長×全幅×全高:3850×1765×1585mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1370kg ●エンジン形式:直列4気筒SOHCターボ、2034cc ●最高出力:193ps/4850rpm ●最大トルク:28.6mkg/1800-4850rpm ●変速機:CVT ●駆動方式:前輪駆動 ●タイヤサイズ:215/45R17