W/V220の後継モデルとしてW/V221のコードネームが与えられた現行型Sクラスがリリースされたのは2005年10月のことだった。鋭い目、リアに向かって跳ね上げられたウエストライン、張り出したフェンダー、先代よりもアグレッシブでスポーティなスタイリングが採用されて押し出しもグッと強くなった。お堅いショーファーカー・イメージを完全に払拭し、最高峰ドライバーズカーとしての性格を想起させるルックスを手に入れたと言えよう。
ラインナップは、3.5リッターV6のS350、5.5リッターV8のS500/S500ロング、そして2006年に追加設定された5.5リッターV12ターボを積むS600ロング。V12は従来のSOHCユニットの改良版だが、V6とV8は新たに開発された新世代のDOHCユニットを採用している。組み合わされるトランスミッションは7段AT(S600ロングは5段AT)、またW/V220で好評だったエアサス+電子制御式可変ダンパーをさらに洗練させて搭載していることもトピックとなる。S500/S500ロングは、2006年11月にS550/S550ロングに名称変更。さらに、2009年にはエクステリアなどを変更するマイナーチェンジが実施され、薄型の電気モーターとリチウムイオンバッテリーを搭載するSクラスハイブリッド・ロングも導入されている。
W/V221のスポーティなルックスはもちろん伊達ではない。その走りっぷりは見事なもので、力強く豪快にして緻密、また静粛性も一段高いレベルに引き上げられ、高速道路でもロードノイズやエンジン音、ドアミラーの風切り音さえほとんど耳に入ってこない。まさに世界の頂点に立つクルマに相応しいクオリティを持っている。メルセデス・ベンツのファンには「いったい次のSクラスはどこをどのように進化させるのだろう」と心配させるはずだ。内装の雰囲気にも文句のつけようがなく、各パーツの質感なども格段に向上させている。
W/V221の認定中古車は、タマ数が豊富とは言えないものの、都市部のディーラーを中心に検索すればなんとか探せる状況にある。S350は700万円台中盤から、S500/S500ロングは800万円台後半から、S600ロングは900万円付近からが目安。特に上級グレードは割安で狙い目となる。大規模ディーラーではSクラスハイブリッド・ロングのデモカーも登場することがあるのでぜひチェックしてみよう。
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