日本でも好調なセールスを記録したW211の後継モデルとして、W212のコードネームが与えられた新型Eクラスがリリースされたのは2009年5月。エレガントな雰囲気だった先代に比べるとシャープなエッジが目立つキリッと引き締まったルックスが特徴だ。ラインナップは、3リッターV6を積むE300／E300アバンギャルド、3.5リッターV6のE350アバンギャルド、5.5リッターV8のE550アバンギャルドの4本立て。パワーユニットは基本的にキャリーオーバーだが、スタイリングと同様に室内のデザインも刷新され、SやCクラスですでにお馴染みのCOMANDシステムを採用してインストルメントパネルがすっきりまとまった印象で、フィニッシュもメルセデス・ベンツらしい重厚な雰囲気となった。また、各種アシスタンス・システムも日本車並みに充実させていることもトピックだ。

　走行感覚はW124の頃のどっしりとした重厚な乗り心地が戻ってきたようなフィーリングといえるだろう。もちろん、あの頃のように突き上げがきついことはなく、しなやかでドライバーを包み込むような安心感に満ちている。シャシーの完成度が一段と引き上げられているのだ。オールドファンにはW210やW211より、W212の走行感覚のほうがしっくりくるかもしれない。

　10月になると1.8リッター直4ターボを搭載するE250CGIブルーエフィシェンシーが上陸。直噴方式を採用したエンジンはもちろん動力性能と燃費の両立を図ったものだが、けっこう力強い加速力を持ち「これで充分」と思う方が少なくないだろう。いまやメルセデス・ベンツの高級セダンでもエコ＆エコノミーは外せない要素になっているのだ。またこのとき、4WDのE350 4マチック・アバンギャルドもリリースされている。

　さて、W212の認定中古車はE350アバンギャルドのデモカーがようやく出回りはじめた段階だが、ほとんど走っていない車両が新車より150万円以上安くなる場合もあるので人気は非常に高い。各ディーラーとも瞬く間に売れていく状況が続いているようだ。人気のオプションを装着したタマも多いからこのデモカーブームは当分の間続くだろう。「いいものを安く」という指向が高まるなか、これがイマドキの賢い購入法なのかもしれない。