202の後継モデルとして、華のあるエレガントなボディをまとって2000年9月に登場した3代目コンパクトクラスの203。ちなみにコードネームはセダンがW203、ステーションワゴンがS203となる。当初用意されたのは自然吸気の2リッター直4を積むC180、2リッター直4スーパーチャージャーのC200コンプレッサー、2.6リッターV6のC240の3種。その後、ベースグレードが1.8リッター直4スーパーチャージャーのC180コンプレッサーに進化、上級グレードのC320(3.2リッターV6)も追加設定された。また、ステーションワゴンも2001年6月にリリースされている。
そして、認定中古車選びのポイントになるマイナーチェンジが実施されたのは2004年6月のこと。スポーティ感を強めたフロントグリルと質感を増したインテリアを採用したのが後期型のトピックだ。当初、セダン/ステーションワゴンともC200コンプレッサーとC240の間を埋める191psの1.8リッター直4スーパーチャージャーを搭載したC230コンプレッサーAVGが設定されたが、2005年8月には2.5リッターV6のC230AVGに進化、さらにC240と入れ替わるかたちで3リッターV6のC280AVGが上陸を果たした。つまり直4版のC230は約1年3カ月しか導入されていなかった稀少モデルとなったわけだ。ちなみに、V6モデルには7段ATや17インチ・アルミホイールが採用されている。
さて、203の走行感覚はというと、メルセデス・ベンツらしい重厚感のある乗り味が真骨頂。直4スーパーチャージャーユニットでも2.5リッターV6並みの力強さとスムーズさを手に入れているし、路面に張り付くような安定感を披露してくれるサスペンションの設定も絶妙。その完成度の高さは高く評価していいだろう。それはもちろんボディの剛性感が一段と高いレベルに引き上げられていることも意味しているのだ。そして、素直なハンドリングも心地いい。実はステアリングを切ったときに、ドライバーの意図する角度だけスッと自然にノーズが向きを変えてくれる実用車というのは非常に少ない。そんな難しいことをサラリとやってのけるのがメルセデス・ベンツなのだ。高速でのどっしりとした重厚感、自然なハンドリング、風格のあるスタイリング、203はコンパクトクラスながらも「メルセデス・ベンツらしさ」を持つクルマと断言していいだろう。それは間違いなく名車“190E”の血を受け継いだものだ。「らしさ」という点では204より上なのかもしれない。
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