それは世界中のファンを驚かせた鮮烈なデビューだった。W210の後継モデルとしてW211のコードネームが与えられた新型Eクラスがリリースされたのは2002年6月。四角四面のクールで質実剛健イメージを貫き通してきた内外装のデザインをクーペ・スタイルのエレガントな雰囲気に刷新していたのである。
まず用意されたのは、中核モデルとなるE320アバンギャルド(3.2リッターV6SOHC)とE500アバンギャルド(5リッターV8SOHC)。少し遅れてE240(2.4リッターV6SOHC)のデリバリーが開始された。いずれのエンジンもフライ・バイ・ワイアが採用されたことがトピック。組み合わされるトランスミッションは当初5段ATだった。また、E500アバンギャルドの足はエアサス+電子制御ダンパーが標準となる。
とにかくV6/V8ユニットとも低回転域から盛り上がってくる力強いトルクが真骨頂。街中から高速道路までどんなシーンでもスムーズ且つ重厚な回転フィールを保ち続ける。また、W210とは比較にならないほどスロットルやステアリングのレスポンスも向上させているし、例のどちらかと言えばゴツゴツした乗り心地も影を潜めた。W211は見た目だけではなく、走りもグッと洗練されていたわけだ。これが人気の秘密かもしれない。
2003年には4WDのE320 4マチック・アバンギャルドが登場、またE500アバンギャルドに7段ATが採用されている。さらに2005年、E320アバンギャルドが3.5リッターV6DOHC+7段ATのE350アバンギャルドに、E240も3リッターV6DOHC+7段ATのE280へと進化した。
一般的にはここまでがW211の前期型と呼ばれているわけだが、クルマ選びの際には2004年以降のE500や2005年に登場したE350/E280には7段ATが採用されていることを憶えておくといいだろう。認定中古車で最もタマ数が多いのはE320アバンギャルド、次いでE240。価格は200万円台後半から300万円台後半付近が目安になるが、E500アバンギャルドや3リッターV6DOHCのE280も同じくらいの相場となっているから狙ってみるのもおもしろい。 |